住宅を購入するにあたり、土地選びは非常に重要なポイントです。
しかし、見た目や立地など魅力的に見える土地でも、その裏には様々なリスクや問題が潜んでいることもあります。
この記事では、そうした「絶対に買ってはいけない土地」について解説します。
住宅を建てるうえで土地選びが大切な理由とは
住宅を建てるうえで土地選びが大切な理由はいくつかあります。
まず、住宅を建てる土地の立地は、生活の利便性に大きく影響します。例えば、通勤や通学に便利な場所や、買い物や医療施設に近い場所を選ぶことで、日々の生活がより快適になるでしょう。
土地の形状や広さ、地勢、地盤、法的制限などによって、建物の形状や大きさに制約が生じることがあり、建物の設計や間取りにも影響がでてきます。
そして、土地は長期的な視点で見る必要があります。
土地の価値は、将来的な開発の見通しや周辺環境の変化によって大きく変動することがあるためです。そのため、将来的な価値の変化を見越して土地を選ぶことが大切です。
以上のように、住宅を建てるうえで土地選びは非常に重要な要素となります。
無道路地
無道路地とは、公道に直接接続されていない土地のことを指します。つまり、専用の私道や隣地を通ってしか通行できない土地のことを指します。
無道路地は、交通の便が悪く、救急車などが入れない場合があるため、住宅地としては不向きです。
また、通行の際に私道や隣地を通るため、トラブルになることもあります。
私道におけるトラブルとは
道路には国や自治体が管理する「公道」に対して、個人や法人が所有して管理する「私道」があります。
公道は誰でも通れますが、私道を所有者が通行人を制限することが可能です。
看板に「ここは私道です」と表示されていることがありますが、多くは何も表示していません。ですので、判断が難しかったりします。
そのため、土地を購入する前に土地が接している道路が公道なのか私道なのか確認しましょう。
公道は国や自治体が管理しますが、私道は個人や法人の所有物なので、維持費が負担しています。
もしも、購入しようとしている土地が私道負担しなければならない場合、整備や維持費が自分で負担しなければなりません。
ただ、私道負担がある場合、詳細を告知することが義務付けられているため、知らずに買ってしまう心配はありません。
再建築不可の土地
既に中古住宅が建っていて、それを建て直したいと考えている場合、建築基準法第42条「道路の定義」・第43条「敷地等と道路の関係」に抵触していないか確認する必要があります。
法律では住宅を建てる敷地は道路に2m以上接していなくてはなりませんが、クリアしていない可能性があるかもしれません。
このような土地を購入した場合、道路の問題を確保しなければ建築許可が下りず、まったく使えない土地となってしまいます。
市街化調整区域の土地
市街化調整区域は、都市計画において市街地の形成を調整するために設定される区域で、基本的に開発許可が必要です。
開発許可とは、開発行為を行う者に対して行政が出す許可のことです。
許可要件を満たさなければ開発許可は下りません。
さらに制限を無視した場合、工事中止や建物撤去などの罰則を受ける可能性があります。
そのため、原則として市街化調整区域では住宅が建てられないと思っていいでしょう。
公図と現況がズレている土地
公図とは法務局に備え付けられている地図で、土地の位置や形状を確定するための法的な地図のことです。
その多くは明治時代の地租改正により、土地に番号(地番)をつけ、その図を墨で書いたもので、当時の技術では正確な測量が難しかったこともあり、現況とは大きく異なる場合があります。
公図と現況がズレていても、土地の所有権や筆界には影響ありません。公図はあくまで土地の大まかな位置や形状を知るための資料だからです。
ただし、現況では1つの土地でも公図上では2つの土地(二筆)だったということがあります。
また、境界線があいまいで隣地との境界争いになることも。ズレを直すには土地家屋調査士に依頼する必要があり、余計な出費がかかってしまうので注意が必要です。
抵当権が設定されている
抵当権は住宅ローンを支払えなくなった場合、債権者が土地や家を担保にする権利のことです。
土地の売買の場合、売り主が抵当権を抹消してから引き渡すことが前提になります。しかし、いつまでたっても抵当権が抹消されず、土地を購入できないケースも少なくありません。
抵当権つきの土地を購入した場合、売り主が返済不能になったら土地を競売にかけられる恐れがあります。
この場合、買主は所有権が消滅し、土地や家を失ってしまいます。購入を希望する土地に抵当権がついているなら、まずは抵当権抹消を依頼してください。
競売物件の土地
競売物件とは金融機関が抵当権のある土地を差し押さえ、裁判所で手続きをして、相場より安く売られた物件を指します。
安く購入できますが、競売物件の名義が書き換えられていればいいので、その土地の前の所有者が居座っている恐れが。立ち退き交渉は自分で行う必要があり、リスクが伴います。
前の所有者の問題がなければ、大きな問題はないので、運が良ければ好立地の土地を手に入れることが可能です。
古い石積みの擁壁がある土地
擁壁とは高低差のある土地や斜面地に対して、土砂が崩れるのを防ぐために設けられた壁のことです。
建築基準法では高さ2mを越える擁壁を作るには確認申請が必要ですが、建築基準法制定前に建てられた擁壁は強度に問題がある恐れがあります。
土地や建物の荷重、雨水などの重みで倒壊するかもしれません。
このような擁壁は確認申請が通らないため、数百万~数千万円かけて擁壁を作り直さなければならない場合があります。
擁壁がある場合は注意しましょう。
軟弱地盤
土地選びで地盤の良し悪しは考えていますか?せっかくこだわりぬいて一生住み続けられる住宅を建てたとしても、地盤沈下が起こると、場合によっては住めなくなり、価値も減ってしまいます。
地
盤沈下とは
土地が徐々に沈下していく現象のことです。
建物の傾き・ひずみ・ひび割れ、水はけの悪化、地下水の浸透による建物の浮き上がり、道路や線路の沈下などがあります。
また、地盤沈下が進行すると、建物の倒壊や道路の陥没など、深刻な被害が発生することもあります。
軟弱地盤の見分け方
住宅を建てる前に業者による調査もありますが、土地探しの段階である程度、地盤の状態を予測できることが可能です。
軟弱地盤とされる土地は地形からも確認できます。以下の地盤は軟弱地盤の可能性が高いといわれています。
- 谷底平野
- 後背湿地
- 湿地
- 河原
- 崖
- デルタ
また、地名からもある程度予測可能です。例えば「水、谷、沼、船」など水を連想させる地名は注意が必要です。
他にも地名に水辺の動物や「さんずい」がついている地名も注意しましょう。
ただし、軟弱地盤についても詳細を告知することが義務付けられているので、知らずに買ってしまうリスクは少ないでしょう。
もしも、売り主が軟弱地盤と知らなかったとしても、地盤改良工事の費用負担をしてもらうことは可能です。
道路よりも低い土地
道路より低い土地は雨水が敷地に侵入してくるのでおすすめできません。
さらに敷地内の排水や雨水は勾配を利用して道路の下を通る下水管や側溝に流しますが、敷地が道路より低いとポンプアップする必要があります。
このような土地を購入する前に雨水、汚水などの排水がどのようになっているのか確認するようにしましょう。
特に台風やゲリラ豪雨のように短時間で大量の雨が降る場合、排水できるような設計が必要です。
また、道路より低いということは道路から自分の敷地が見えてしまうことになります。
プライバシーを保つための設計の工夫も必要です。
過去に水害のあった土地
過去に水害があった土地は土砂災害や川の氾濫など、将来的に同じような起こる可能性があります。
水害に遭うと補修費用がかかったり、湿気でカビが繁殖したりと、最悪住めなくなってしまうかもしれません。
過去に水害があった場所やリスクのある土地はハザードマップで確認可能です。
何年も売りに出されている土地
土地の中には何年も売りに出されている土地があります。
このような土地は何らかの問題を抱えていることが多く、手を出さないほうが無難です。
一般的に売れ残る土地というのは、価格が相場より高かったり、土地の広さが中途半端という場合が多いですが、他に原因があることも。
近隣とのトラブルが原因で売りに出されている土地であったり、不明瞭な部分があったりと、売れ残る理由があるのです。
どうして売れ残っているのかは不動産会社に聞いてみれば分かるでしょう。
事故物件はどうなのか
事件や事故など、何らかの理由で入居者がなくなった物件を、不動産業界では心理的瑕疵物件として扱います。
過去に事件や事故で亡くなったと聞くと、心理的に不安になるかもしれません。
反面、相場より安く手に入れることがメリットです。
事故物件のある土地は縁起が悪いと思いがちですが、必ずしもそう言い切れません。
何度も事件や事故があったわけではないですし、過去に事故物件であっても問題なく生活されている方が多くいます。
中には購入直後に何らかの問題が発生し、すぐに売りに出される土地があるのも事実です。
土地は安い買い物ではありません。せっかく購入するなら気にせずに暮らせる土地を選びたいものです。
まとめ
今回は、不動産を購入する際に失敗しないために、絶対に買ってはいけない土地の特徴について紹介しました。
まず、地盤が軟弱である、法的に問題のある土地、そして自然災害のリスクが高い土地は避けるべきです。また、立地条件が悪く、日当たりや通風が悪い土地も注意が必要です。
さらに、将来的に開発が進む可能性のある土地や、土地自体に問題がなくても周辺環境が悪い場合も注意が必要です。最後に優先順位を明確にすることも大切です。
土地選びの際は、慎重かつ注意深く調査し、将来的なリスクを考慮した上で、安全かつ安心して住める土地を選ぶようにしましょう。